作曲のたわごと
私は、得意楽器がピアノなのでどうしてもピアノにたよりがちでした。
ピアノからなかなか離れられず、編成を考えるとき、いっつも楽器とピアノの曲で三重奏とか作って逃げていました(笑)
楽なんです。しわ寄せを全部ピアノで引き受けることで誰にも迷惑をかけない、それなりの曲が書けます。でもピアノなしの曲を思い切って書いてみたとき、ちょっとかわりました。
楽器の特性を知る。
伴奏のすすめ
関わらなければわからない世界です。とにかく伴奏をしました。
伴奏をして、楽器の練習を見て、楽器特有の奏法の記号がありますよね、それを調べました。こういうところでこういう奏法をするというのを体感するしかありません。
自分で勉強って言っても今はYouTube等ですぐ見れたりもしますが、自分で演奏する、身近に体感する方がよっぽど身に付きます。
楽器らしさ
基本的に、メロディや和音を作曲、編曲、するだけではほかのどの楽器がやってもいいのです。
歌の楽譜をフルートで吹いてもそれはそれでいいのです。
ですが、フルートを選ぶ、フルートらしさ、これぞ、ザ・フルートというメロディ、奏法を勉強して作ることで、オンリーワンな楽曲になります。
音楽を深いものにしていくには楽器の理解が必要です。
逆に、その「らしさ」を理解しないといい曲にはならないのです。
演奏家の作曲家
ヴァイオリンで言うと、パガニーニやクライスラーでしょうか。
やっぱり楽器をしっかり演奏できないと、これができるできないをなかなか把握できません。上っ面の簡単なメロディになってしまいます。
作曲家であり、演奏家であるというのはものすごい強みです。
葉加瀬太郎さんもそうですよね。情熱大陸やエトピリカを他の楽器でやるのと、ヴァイオリンで聴くのとはやはりちょっと違う気がします。
ならでは!という曲こそ名曲です。
ピアノの存在
ピアノって一人で完結しようと思えば完結できる楽器です。
ピアノを逆にやりすぎたせいで、楽器に置き換える作曲を煩わしいとさえ思うようになってしまいました。
そこでピアノに頼るのをやめて、弦楽四重奏を書きました。
そしたら、…ピアノがない世界のすばらしさにも気づきました(笑)
ピアノがしていたと思っていたフォローは、実は必要ないもので、一楽器であるべきだと考えなおしました。その余白こそが楽しむためのもので、余白を怖がるのをやめました。(昔は休符があれば埋めたくなるタイプで…^^;)
室内楽、小編成曲、素晴らしい曲がたくさんあります。
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲14番…素晴らしすぎます。知らずに聞いたらベートーヴェンとは思えません。晩年の曲です。
ブラームスの三重奏曲…ピアノの役割がよくわかります。ピアノ小さめの演奏が好きです。
バンドは最強
クラシックで作曲家で共作ってほぼないと思います。
でも、共作できたらいいのにって思います。
一方バンドは基本的にメロディー作っただけで作曲と名乗っている気がしますけど、どうなんでしょう?^^;
ドラムやベースの細かな音までその一人が書いているわけではないと思いますし、作曲者をバンドの名前で出しているところもあると思います。
でも、作り方としてはこれがいいと思うのです。
演奏者が、その楽器を演奏するところを考えて、演奏する。
それが重なり合って、音楽を形成していく。
他の楽器とコラボもありですしね。
それで、曲ありきで人を編成するのではなく、バンドありきで曲を作っていく方が、合理的だし既存曲を演奏する機会も増えます。
今のクラシック音楽が、なんとも非合理的で芸術性が高いのに評価されにくい現状を何とか…ならないかなぁと思います。
この前、声楽の人と演奏するとのことで編曲しました。最後の盛り上がりにソロの部分を作ったのですが、素敵に変えてくれました。それだけでうれしくなっちゃいました。らしさというのは演奏者にもゆだねられていて、解釈して変えてくれて全然私は構わないので。「こんなかんじ」というのを提示して、それ以上のものが返ってくるなんて感動です。
学生時代も、カデンツァを作って~って楽器の人に言われたりしましたが、そりゃ作れますが、演奏する人がその曲をこう表現したい、と作ったものの方が絶対いいと思うのです。結局作り方を教えて(テーマのモチーフ抜粋する、とか盛り上がりをこの辺に持ってくる、とか)自分で作ってもらいました。
クラシックは楽譜がすべてですけど、編曲ものとか、それ以外はある程度、演奏者もどんどん変えていくのもありだと思います。
やっぱり音楽理論って大事だと思います。
今や演奏家の人も作曲をしていくべきだと思います。
作曲家の人も演奏をしていくべきだと思います。
作曲家にしかできない作曲を、演奏家にしかできない作曲を、それぞれ作ればいいですよね。
垣根がなくなってきている気がします。
今回は思ったことをつらつら書きました。
それでは次回をお楽しみに!