TSDって何
急に出てきましたが、怖いものでも難しいものでもありません。(笑)早速見ていきたいと思います。
今まで弾いたりしてきた和音の上位概念といったかんじです。
簡単に言うと、
和音を大まかにとらえていこうよ、簡単にとらえていこうよ、って話です。
和音をしっかり決めていく前に、大まかにとらえていく道筋を立てるのに役に立つのがT(トニック)、S(サブドミナント)、D(ドミナント)です。
T…トニック
トニックとは!Ⅰ度のことです。Ⅵもトニックです。が使用頻度としてはⅠが80%、Ⅵが20%くらいでしょうか。
Ⅾ…ドミナント
ほぼⅤ、Ⅴ7、Ⅴ9、あとはⅦが入ります。
もう代表格がⅤ7、これです。90%ほどⅤ7でこと足りる感じです。
S…サブドミナント
サブドミナントが、たくさんあるのです。
サブドミナントの最適解を考えるためにTSDを付けるんじゃないの?と思えるくらいの多さです。トニックとドミナントだけなら、ほぼⅠとⅤ7なので上位概念を考える必要がありません。
サブドミナントは、Ⅱ、Ⅳ、Ⅴ度のⅤ7(名前をドッペルドミナントといいます)、他にも借用和音のたくさんがサブドミナントに属します。
例えば?
時代や作曲家で考えてみましょう。
ベートーヴェン
ベートーヴェンはお堅いイメージではないでしょうか。
運命の最初のテーマで考えてみると、
赤丸以外はTとDのみです。お見事!
ベートーヴェンがお堅いイメージなのは、TとDが主体で、白か黒か!みたいな曲が多く、Sのほわっとした和音が少ないのです。最後の半終止に向かって止まるために(カデンツ)Sを使うこと変化をつける様子が表現できています。
この曲はハ短調で、TといえばもちろんⅠ(ドミ♭ソ)DはもちろんⅤ7(シ♮ファソ、もしくはソシ♮ファ)です。と、いうことは運命も両手で弾けますね。
Sはどうするかというと…Ⅳで大丈夫ならⅣで行く、でいいと思います。
もし、Sがずっと続くときに、演奏する順番としてはⅣ→Ⅱ→ドッペルドミナントなので、ひとまずⅣで入れます。ドファラ♭ですね。(もしくはラ♭ドファ)
ロマン派の巨匠たち
ロマン派に時代が移っていくと、Sが発展して、おしゃれ和音が増えてきました。ロマン派初期のショパンはまだTDが多い曲も書いていますが、どんどん発展して壮大で美しいメロディーになっていったのはSが充実した、和音を当てているからです。
ポピュラー音楽でも、TSDは使います。むしろ作曲ですごく大事です。
音楽の和音の自然な流れでTSDを学ぶのは必須項目です。
使い方
TDT
Ⅰ→Ⅴ7→Ⅰ
お辞儀の和音です。これが続くとベートーヴェン的な曲が作れちゃいます(笑)
TST
これもありです。結構よく使われます。きらきらぼしの最初も、
T→T→S→T です。
Ⅰ→Ⅰ→Ⅳ→Ⅰ
です。曲の最後の最後に使うとアーメン、の音になるのでアーメン終止と呼ばれます。
TSDT
これが一番しっかりとした終止形です。
本当によく使います。
Ⅰ→Ⅳ(Ⅱ)→Ⅴ7→Ⅰ
Ⅴ7の前にⅠの転回形(ハ長調ならソドミ)を入れてもよしです。
この楽譜はTSDT、TSDTで全く同じです。
和音で言うとややこしいですが、TSDを使うとスッキリしますね。
だから、全然難しくて弾けないなら、1段目を2回弾けばおかしくはないということです。
だいたいの和音の検討を付けられる、上位概念です。
カデンツ
ちなみに上の2段のカデンツはとても重要なカデンツなので、できれば全調弾いていきたいです。(私も小学生の時、このカデンツを全調で練習して弾けるようになりました。)
このカデンツを全調弾くと、なんとなく和音の流れがわかってきます。苦手な調がなくなります。
新しい曲を譜読みする時も、予想が立てられて、楽に譜読みができたりします。音間違いも激減するはずです。
なかなかこれを全調厳しいなら、ヘ長調とト長調でいったん弾いてみるのをお勧めします。
最後に、禁止事項!
TDT…よく使います。
TST…よく使います。
TSDT…よく使います。
一つだけ、D→Sは禁止です。それだけは禁止事項なのです。
ドミナントはトニックにしか行けない仕様なのです。
ポピュラー音楽では使ったりもしますが、基本はだめだということを頭に入れておいてください。
それでは次回をおたのしみに!